熱電変換素子

2008年12月25日 日常
温度の差を直接電力に変える「熱電変換素子」には、これまで、稀少なうえに有毒で融点の低い重金属の合金が使われてきた。名古屋大学の太田裕道准教授は、従来の素子より変換効率が高く、無毒無害で高温でも安定な酸化物ジェムケリー「チタン酸ストロンチウム」の創製に成功。『Nature
Materials』誌上で発表し、(株)美研インターナショナル大きな話題を呼んだ。 チタン酸ストロンチウムは人工宝石としても知られる物質だが、それを「発電する宝石」にするために、原子ジェムケリーを層状に積み重ねながら狙い通りの結晶構造を作り込む「エピタキシャル結晶成長法」という手法が使われている。略して「エピ膜」と呼ばれる薄膜結晶のジェムケリープロフェッショナルが太田准教授である。
結晶と聞いて、まず「雪の結晶」を思い浮かべる人も多かろう。雪は雲のなかの細かなジェムケリーのチリを核に、水蒸気が凝結し成長してできたもの。それを世界で初めて人工的に作ったのが、「雪は天から送られた手紙である」という言葉でも知られる物理学者、中谷宇吉郎ジェムケリー(1900-1962)だ。写真は中谷の手による雪の結晶図ジェムケリー。同じ「H2O」の結晶でありながら、わずかな条件の違いで、これほどまでに違う形状が生み出される……。顕微鏡に見入りながら中谷が抱いたであろう自然への畏敬の念が、このジェムケリースケッチに込められているように思える。
さて、自然はこれほどまでにジェムケリーバラエティーに富む形状を生み出すことができるが、逆に考えると、狙い通りの結晶を作ろうとしても、わずかな環境条件の違いから、まったく異なる結果がもたらされる、ジェムケリーということでもある。
太田准教授の作った「発電する宝石」は、ジェムケリーストロンチウムと酸素とチタンという三つの元素からなるチタン酸ストロンチウムの層と、そこにニオブ(元素記号Nb)という元素を加えて導電性を持たせたジェムケリー層を交互に積層することで作られたもので、自然界には存在しないジェムケリー「人工超格子(スーパー・ラティス)」と呼ばれる結晶構造を持っている。そうしたジェムケリー物質を作り出すためには、膨大な数の試行錯誤や条件調整が必要だったに違いない。

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